江口綾音「大地の内臓」
江口綾音(Ayane Eguchi)さんの個展「大地の内臓」に伺いました。会場は六本木ヒルズ六本木ヒルズ ウェストウォーク3階「六本木ヒルズA/Dギャラリー」です。
江口綾音さんは、金沢美術工芸大学大学院出身の作家で、2020年4月現在は東京に在住されているペインターです。
本展では、直近の1年間滞在したインドネシアで制作された新作の油絵、水彩作品、立体作品が展示されていました。
海外での展示機会が多い江口さん。日本での個展は2013年以来7年ぶりの貴重な機会となりました。
最も大きな作品は、個展のタイトルにも付けられている《Viscera of the Vast Land 2020 大地の内臓》です。
江口綾音さんの作品で目を奪われるのは、油絵具の質感が艶めかしく残された絵肌です。動植物を多くモチーフに取り入れている中で、その生物的な息づかいや動きを絵具の物質感で表現しているようです。
本展は、新型コロナウィルス対応により、僅か数日間の開催で会期を終えました。
本記事に寄せて、江口綾音さんより以下のメッセージを頂きました。展示写真とあわせてお読み頂けましたら幸いです。
昨年、インドネシアのジョグジャカルタでムスリムの祭事である犠牲祭を見た。生贄として牛や山羊をその場で捌き、祈り、食べる。実際に捌きたての内臓を見るのは初めてだった。山羊の腹から落ちるつるつるした袋の連なりは美しかった。知識として知っている臓器とは微妙に違う。それはもっと海中の珊瑚や、地上の植物と似ていた。
それから私は内臓のことを考えるようになった。
なぜ、海の中も地上の植物も人間も、同じ形を持っているのか。
あらゆるものに内臓があって、普段は見ることのできないそれをひっくり返して見てみたい、という私の欲求が、インドネシアの海、動植物、文化、街のグラフィティと出会うことによって融合してこれらの作品ができた。現在(2020年4月8日〜5月6日まで)緊急事態宣言のため封鎖中の六本木ヒルズですが、今後閉鎖解除されることになれば、5月7日から24日まで会期延長ということになっています。もし、そのときに世界がより良くなっていましたら蠢く内臓を体感しに来てくださればと思います。
また、そうでなくとも新しいものを作りますので、またお目にかかれるのを楽しみにしています。江口綾音さんからのコメント(4/14付)
概要
江口綾音
大地の内臓
会場:六本木ヒルズ A/Dギャラリー
会期:2020年4月3日(金)〜5月24日(日)
※新型コロナ対応により、4月7日で一旦終了。5月7日〜24日まで会期延長予定。
時間:12:00〜18:00