加茂昂「境界線を吹き抜ける風」
加茂昂さんの個展「境界線を吹き抜ける風」にお伺いしました。会場は代官山のギャラリー「LOKO GALLERY」です。
本展のキーワードは「境界線」と「風」。
3.11東日本大震災の被災地、加茂昴さんが現地福島に入って描かれた作品です。
帰還困難地域において立入禁止エリアを示すために設置されるフェンス(境界線)、人物、木漏れ日にも見える薄黄色の何かが描かれています。
このフェンスが存在する理由は原発事故だけれど、事故を招く原因を作ったのは私たち人間。
境界線の位置を決めたのも人、立ち退きせざるを得なかったのも人、いずれの当事者でもある私たち人間の、今とこれからを問いかけるように見える作品です。
こちら側と向こう側を行き来する風を感じる作品です。
加茂昴さんの作品は油絵の具の盛り上がりも肉感的でエモーショナルです。
風が舞うような筆致が重ねられ、作品に深みを持たせているようです。
CDジャケット原画展
併設のカフェ「私立珈琲小学校 」では加茂昴さんが手がけたCDジャケット原画展も開催されていました。
児玉奈央さんというアーティストのCDジャケットや中面に描かれた楽曲の世界観を作品にしたものです。どの作品にも使われている、柔らかくて優しい色が印象的でした。
概要
加茂昂(Akira Kamo)
境界線を吹き抜ける風〜Wind Blowing Through Boundary
会場:LOKO GALLERY
会期:2019年4月26日~6月1日
Akira KAMO