【個展】「NORITAKA TATEHANA RETHINKー舘鼻則孝と香りの日本文化ー」

則孝さん個展のレセプションパーティーに招待頂きました。
会場は東京九段の「旧山口萬吉邸( kudan house ) 」。地下1階地上3階の雰囲気がメチャ良い建物でした。

【個展】「NORITAKA TATEHANA RETHINKー舘鼻則孝と香りの日本文化ー

舘鼻則孝(たてはなのりたか)さんは東京藝術大学美術学部卒業のファッションデザイナー。レディー・ガガ(Lady Gaga)が着用した「ヒールレスシューズ」を作ったことで有名な方です。本個展会場内でも随所に展示があり、色んなデザインで成熟した完成品を展示していました。

Heel-less Shoes Series

大学在学中より舘鼻作品のモチーフとなっている花魁は、江戸時代のファッションリーダーとも言える存在でした。その装いの中でも高下駄や簪は、花魁のヒエラルキーの象徴でもあります。
東京藝術大学の卒業制作として発表をした『ヒールレスシューズ』(2010年)は、花魁の高下駄をモチーフとした現代日本の厚底靴としてメトロポリタン美術館などの世界の著名な美術館に永久収蔵されています。また、簪をモチーフとした『ヘアピン・シリーズ』(2014年)や現代の煙管として発表した『セオリー・オブ・ジ・エレメンツ』(2015年)も花魁から着想を得た一連の作品群です

源氏香図蒔絵香炉 香りの日本文化を「RETHINK」して舘鼻が制作をした香炉は大きな球体に「源氏香の図」と呼ばれる図形的な紋様が蒔絵によって描かれています。この紋様は、源氏物語の全54帖のうちの52帖の巻名が附されています。また、5本のストライプの組み合わせによって成立する図形は、1960年代アメリカのミニマル・アートを彷彿とさせます。

椿をモチーフとした彫刻作品『カメリア・フィールズ』(2017年)に代表されるように舘鼻は「日本独自の死生観」を主題とした作品を多数制作しています。
そのような延長線上で新作のモチーフとなっているのが「反魂香」の伝説です。その香を焚くと煙の中に死者の姿が現れるという中国の故事がもとになっており、日本では古典落語の演目としても知られています。

Camellia Fields

葛飾北斎作品

香りがテーマになっており、会場内は心地良い空気に満たされていました。香りは京都の香老舗・松栄堂によるプロデュースです。展示における五感の中でも「香り」はもっと注目されて良いと思います。

アート系の内覧会とは異なり華やかなファッション系の関係者で溢れていました。
3日間限りの会期ということで、惜しくも行けなかった方は多くいらっしゃることでしょう。筆者もゆったりとした雰囲気で鑑賞したい気持ちが強かったです。
今後のご活躍にも注目してみたいと思います。

概要

「NORITAKA TATEHANA RETHINKー舘鼻則孝と香りの日本文化ー」
期間:2018年9月14日~16日
時間:11:00~19:00 ※最終入場は閉館30分前
会場:旧山口萬吉邸(kudan house)
住所:東京都千代田区九段北1-15-9