【3331 ART FAIR 2019】静物画の力こぶ〜川田龍(Ryo Kawada)「Vanitas(Magnoria)シリーズ」@アーツ千代田3331

3331 ART FAIR 2019

東京藝大の大学院卒展で拝見して以来、川田龍さんの静物画に魅了され、好きな作家さんの1人として存在しておりました。

確かな腕を持つ優秀な若手ペインターの1人だと確信している筆者は、沢山の来場客で賑わうアートフェア3331で、どのような作品を見せてくれるのかをとても楽しみにしておりました。

良い意味で期待を裏切られたのが同じモチーフで描かれた静物画3点、《Vanitas(Magnoria)》、《Vanitas(Magnoria2)》、《Vanitas(Magnoria3)》です。

上左《Vanitas(Magnoria3)》 上右《Vanitas(Magnoria2)》下《Vanitas(Magnoria)》

川田龍さん、人物画も多く描かれる作家さんですが、筆者は静物画に魅了されておりました。
ですので、今回の展示3作品にはかなりテンションが上がり、かなりの時間ずっと鑑賞させて頂きました。

《Vanitas(Magnoria)》97.0×130.3cm 2019年

《Vanitas(Magnoria)》部分

こちらの作品は実際に肉眼で見ないと分からないかも知れません。
それぞれが違った作品として成立しています。
支持体からして異なる素材が使われており、絵肌が全く違うんです。

《Vanitas(Magnoria2)》45.5×38cm 2019年

《Vanitas(Magnoria2)》部分

川田龍さんの静物画の良さは、なんと言っても「空気感」です。
静止している風景を切り取るだけでなく、鑑賞者(筆者)はキャンヴァスの中でフワリとうごめくような空気の感触を感じ取ることができます。キャンバスの枠の外側に起こっている事象を感じ取っているような作品です。

《Vanitas(Magnoria3)》45.5×38cm 2019年

《Vanitas(Magnoria3)》部分

何かの気配を感じるようなその空気感に、ゾワゾワとした感覚を感じることが出来ます。
そう「揺らめく空気をも描いてしまう画力」が存在します。

横から見ると支持体の違いを確認することが出来ました。

「これはどこの部屋で、この部屋には誰がいるのか?」
「なぜ同じ構図の同じモチーフを3枚も描くのか?」
「サイズや支持体を変えて何を表現したかったのか?」
「3作品の並べ方はなぜこの位置関係なのか?」
・・・など、作品に関わる疑問や興味を川田さんに直接伺いたかったのですが、残念ながら叶いませんでした。

光と影の濃淡だけではない、そこにある何かを掴み取ることの出来る表現力豊かな作家さんです。

概要

3331 ART FAIR
会期:2019年3月6日(水) – 10日(日)
3月6日(水) [ファーストチョイス] 14:00 〜17:00 [一般公開] 17:00 - 20:00
3月7日(木)~ 9日(土) 12:00 - 20:00
3月10日(日) 12:00 - 18:30 ※会期中の最終入場は閉場30分前まで
※初日3月6日(水)は17:00より一般公開
※最終日3月10日(日)は18:30閉場
会場:3331 Arts Chiyoda